ようこそ土壌教育委員会のサイトへ!
土壌は生命と環境を育み,自然や社会環境の中で多面的な役割と機能を果たしています。土壌教育委員会は1982年以来初等中等教育現場における土壌の理解と知恵を育てる教育のあり方について検討してきました。
本サイトでは土壌教育委員会のこれまでの活動および今後の予定などを紹介します。このページを読んでいただいた皆さんは勿論のこと,もっともっと沢山の子供たちや人々が土壌に興味を持つようになることが,私たちの切なる願いです。

土壌教育活動だより 96-4
日本土壌肥料学会2025年度新潟大会において,ハイブリッド形式で高校生による研究発表会を開催いたします.対面での発表のコアタイムは大会の初日(9月17日)の12:00〜13:30に総合教育研究棟2階のエントランススペースで行います.また,Slackを用いて9月8日(月)~24日(水)にオンライン発表を実施します.対面での発表は16課題,オンラインの発表は13課題です.多くの方の参加と,活発な議論をお願い致します.
委員による土壌教育活動を報告します.丹羽勝久委員(株式会社ズコーシャ)は,6月22日に「千曲川ワインアカデミー(千曲川ワインアカデミー | アルカンヴィーニュ 日本ワイン農業研究所 (jw-arc.co.jp)」で講師を務めました.座学で土壌タイプとワインの品質の関係,土壌診断結果の解釈,土壌水分と醸造用ブドウの糖度,酸度,アントシアニン含量の関係等について講義しました.また,有機物と化学肥料についても話をし,どちらを施用するにも土壌診断結果に基づいて適量を施用すること,決して過剰施用しないことが重要であると説明しました.野外学習では火砕流堆積で削られた傾斜地に立地するヴィンヤード(現在は地形修正により平坦化)と火砕流の影響を受けていない比較的平坦なヴィンヤードの土壌断面を確認しました.傾斜地では黒ボク特徴を持つ砂質土で巨岩が混在していましたが,ブドウ根が1m以上深くまで入っていました.一方、平坦地では著しく堅密な重粘土であり,粒径が立地地形面によって著しく異なることを説明しました.また,ヴィンヤードの責任者から収量は砂質土で高く,産出したブドウの味の凝縮感は重粘土で高いとの補足説明がありました.参加者はアカデミー受講生で対面が21名、オンライン参加(座学のみ)が5名でした.
会員による土壌教育活動を報告します.谷昌幸氏(帯広畜産大学)は,6月3日に帯広畜産大学において開催された,北海道農業女子ネットワーク「はらぺ娘」土壌研修会の講師を務めました.「はらぺ娘」会員を対象に,「土壌の基礎と土壌診断結果の見方と活用方法について」と題した講演を行いました.北海道の農耕地に分布する土壌の種類や特性について学ぶとともに,土壌特性に応じた土壌診断票の読み取り方,陽イオン交換容量や塩基飽和度の意味と改善方法などについて講演を行いました.また、各自の土壌診断票を見ながら,どのような問題や改善点があるかについて演習形式でディスカッションを行いました.参加者は「はらぺ娘」会員12名でした.また,同氏は6月12日に帯広畜産大学において開催された士幌町農業協同組合青年部下居辺支部視察研修において,「堆肥施用によるカリウム過剰に対応した施肥対応と陽イオンバランス」と題した講演を行いました.士幌町における堆肥施用に伴うカリウム過剰の実態について理解するとともに,カリウム過剰に対応した施肥方法,交換性陽イオンバランスの調整方法などについて講演を行いました.参加者は生産者12名でした.石倉究氏(道総研十勝農業試験場)は北海道帯広農業高等学校において出前授業を行いました.はじめに教室内で麦の一生と秋まき小麦の肥培管理法について講義を行いました.次にほ場に出て,秋まき小麦の開花期の様子を観察し,穂数の多少を確認しました.上位葉だけではなく下位葉にも光があたっているかどうかを生徒たちに確認してもらい,光合成効率を最大限発揮するために必要な群落の姿を考察しました.最後に微地形によって茎数および穂数がどの程度変動してしまうかを確認してもらい,深さ50 cm程度の簡易的な断面調査から腐植含量や作土の厚さの違いが秋まき小麦の生育に影響を及ぼしている可能性について考察しました.次回は成熟期の収量調査の学習を予定しています.参加者は農業科学科第2学年38名でした.
本欄では会員の皆様の土壌教育活動も紹介します.情報をお持ちの方は支部選出の土壌教育委員までお知らせください.なお,土壌教育委員会の現在の構成は公式ウェブサイト https://jssspn.jp/edu/ の「委員」をご確認ください.
(日本土壌肥料学雑誌 第96巻第4号 掲載)
高校生による研究発表会(北海道支部)のお知らせ
日本土壌肥料学会北海道支部2025年度秋季支部大会(2025年12月3日(水))において高校生による研究発表会を開催いたします。発表は対面によるポスター形式です。発表および申込の詳細は、学会支部ホームページ(https://sites.google.com/site/hkdsspn/)に掲載の実施要項をご参照ください。
- ■対象
- 北海道内において、下記分野に関連する活動をおこなっている高等学校または高等学校に相当する教育機関に在籍する生徒であること。国籍は問いません。
- ■応募資格
- 対象教育機関の生徒(引率教員も参加可)
日本土壌肥料学会に加入する必要はありません。 - ■分野
- 化学、生物、地学、農学、環境学およびそれに関連した科学研究一般の中で、以下のキーワードと関連する分野
【キーワード】 土壌、肥料、植物栄養、食料生産、環境保全、環境修復、博物学(自然史)、その他 - ■発表日時
- 2025年12月 3日(水)
(当日の日程詳細は、9月を目処に、学会支部ホームページ https://sites.google.com/site/hkdsspn/ に掲示する予定です) - ■申込方法
- 下記申込先(Eメール)までお送り下さい。メールの件名には「高校生による研究発表会申込」と明記してください。受け付けましたら数日内にご連絡いたします。連絡がない場合は必ずお問い合わせください。
【発表申し込み】2025年9月26日(金)(必着)
- ■申込み先/問い合わせ先
- Eメール:yagi-tetuo@hro.or.jp
北海道立総合研究機構 中央農業試験場
日本土壌肥料学会北海道支部 庶務幹事 八木哲生
Tel 0123-89-2852 Fax 0123-89-2060
※E-mailを使用できない場合は下記までお問い合わせ下さい。
土壌教育活動だより 96-3
2025年4月より,土壌教育委員会委員1名が交代しました.新しい委員は,中部支部:村瀬潤氏(名古屋大学)です.
日本土壌肥料学会2025年度新潟大会において,高校生による研究発表会を開催いたします.対面によるポスター発表とオンライン発表のハイブリッド形式での開催を予定しています.対面によるポスター発表は,大会の初日(9月17日)に行う予定です.詳細は決まり次第,土壌教育委員会公式Webサイトに掲載いたします.
会員による土壌教育活動を報告します.谷昌幸氏(帯広畜産大学)は,2月12日にとかちプラザ視聴覚室で開催された十勝農業機械協議会2025年度研修会で,「土の力を引き出す-土の成り立ちと素性を理解する」と題した講演を行い,北海道の農耕地土壌の特徴と肥沃度,土壌診断に基づく土壌改良と施肥管理の方向性などについて解説しました.また,堆肥による土壌改良の効果についても解説しました.参加者は同会会員約70名でした.同氏は2月27日に熊本県菊陽町火の国ファーム圃場,アークホテル熊本城前で開催された九州沖縄土を考える会で,圃場断面調査において土壌改良に係る助言を行うとともに,「土壌の力を引き出すために-土壌の陽イオン交換容量(CECについて-」と題した講演を行い,土壌診断における各数値の意味と読み方、土壌改良の目指すべき方向性などについて解説を行いました.参加者は同会会員約50名でした.同氏は3月6日に十勝川温泉 観月苑で開催された北海道土を考える会十勝支部研修会で「土壌の力を使いこなせ2025-積極的なリン酸減肥に向けて」と題した講演を行い,北海道農業におけるリン酸施肥過剰の現状とリン酸減肥の必要性について解説しました.また、農業生産者から寄せられた約30点の土壌診断票について解説を行い,今後の土壌改良や施肥管理に向けた指針について論議を行いました.参加者は同会会員約40名,農業関係者約30名でした.同氏は3月24日に十勝農協改良普及センター十勝北部支所で開催された士幌町農業士会研修会で「堆肥の種類・特性と堆肥施用による土壌の物理性・化学性への影響」と題した講演を行い,士幌町内で発生する堆肥の性状と肥料効果,堆肥を連用することによる土壌の化学性と物理性の変化などについて解説しました.また,農業生産者から寄せられた約10点の土壌診断票について解説を行い,今後の土壌改良や施肥管理に向けた指針について論議を行いました.参加者は士幌町農業士7名,普及センター職員9名,農協・ホクレン・役場4名でした.
本欄では会員の皆様の土壌教育活動も紹介します.情報をお持ちの方は支部選出の土壌教育委員までお知らせください.なお,土壌教育委員会の現在の構成は公式ウェブサイト https://jssspn.jp/edu/ の「委員」をご確認ください.
(日本土壌肥料学雑誌 第96巻第3号 掲載)